島の竹を射尽くした雄島の神
どんな伝承か
モックリコックリが大きな魚に化けて雄島の神を倒しにやってきて、島を九分どおり沈めてしまった。神は島の竹を切って矢とし、次々に射たので島から竹が一本もなくなった。困っていると社の前に鏑矢が一本降ってきて、それを射ると矢は千本に分かれて魚に当たったという。四十二本に分かれて両眼を射抜いたとも伝える。魚が死ぬと島は再び浮かび上がり、大晦日の翌朝、死骸は北の浜のアカハシに打ち上げられた。アカハシの石が赤いのはその血に染まったためで、村人が臓物まで食べたことから正月に雑煮を食う習わしができたという。魚は大きく、翌年の正月まで食べ残ったので、正月に魚を調えて次の年まで置く習いも始まったと伝える。
原典より
昔、モックリコックリが大きな魚になって、雄島さんをやっつけてやろうと思って来て九分通り沈めた。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。