木片を撫でて治す片腕の石観音
どんな伝承か
弘法大師が諸国教化の折、三方の山中で観音大士の霊像を刻んだ。あと右腕を残すばかりというとき、下の村で村人が川端へ出て釜を洗う音が聞こえた。もう夜が明けたかと思い、大師はそのままにして山を出てしまったという。手足の不自由な人はこの石観音に参り、堂の前の小宇から木片を持ち帰って悪い所を撫でると全快すると伝える。治ると同じ形のものを作って礼参りをするので、小宇には手足や乳房をかたどった木片が山のように積まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。