池の谷で大蛇になったお石
どんな伝承か
お石という女が新道の池の谷へよもぎを摘みに来た。夢中で摘むうちに暑くなり、池へ顔を洗いに行って水に映る自分の顔を見ると、顔じゅうに鱗が生えていた。大蛇に変わってしまったことを悲しんだお石は、そのまま池へ飛び込んだ。帰らぬ娘を案じた親が探しに行くと現れ、もう家へは帰れない、おこわを一斗蒸して持ってきてほしいと言う。子が乳を欲しがって泣いていると聞くと、お石は自分の片方の目玉をくり抜いて渡し、泣いたらこれをしゃぶらせよと告げた。それでこの地の蛇も蛙もみな片目だという。親が持ってきたおこわは櫃ごと渦を巻いて池に沈み、村では今も池や川で水鏡をしてはならないと言い伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。