六部の霊肉を食べた石塊の娘
どんな伝承か
堤に伝わる、八百姫明神の由来を語る一話。諸国をめぐる六部が佐渡の羽茂長者に宿を借り、長者の宝物にも動じず、小さな石塊を取り出して盆に載せると、霧と黒雲がわいて雨が降り、やがて島と人家と白椿の花が現れた。石を片づける際、老僕がそれをひそかに袂へ忍ばせる。長者は宝物すべてとの交換を求めたが六部は断り、代わりに不老長寿の霊肉を差し出した。翌日、討たれかけた六部が石を投げて逃げると石は割れて元に戻らず、老僕の家では島に見えた少女が娘の姿で現れた。娘は棚に置かれた霊肉を食べて十五、六の姿のまま八百歳まで生き、若狭の殿様に寿命を譲って世を去り、八百姫明神と祀られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。