夢告で建てられた猿丸太夫の塚
どんな伝承か
八尾町の小井波に、猿丸太夫の塚と呼ばれるものがある。もとは直径四メートルほどの円い壇であったが、いまは形が崩れて跡だけが残る。昔、村の善次郎という老人の夢枕に塚の主が立ち、三治右衛門という者がよく塚守を務めてくれたが、今は誰も守る者がなくて寂しいと告げた。そこで碑が建てられたのだという。猿丸太夫は越中路を旅してこの地に至り、別荘川の景色を眺めて喜び、晩年ここに草庵を結んだ。はじめ稲を植えて稲植えと呼んだのが、土地の者の訛りで井波となり、のちに小井波と呼ばれるようになったと伝えている。
原典より
婦負郡八尾町の小井波に猿丸太夫の塚というのがある。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。