異国から持ち帰った人魚の肉
どんな伝承か
東勢に高橋権太夫という長者がいた。異国から珍しい品を取り寄せて商いをしていたが、自分の目でも異国を見たいと、ひとり舟を出した。三日三晩漕ぎ続けて島に着くと、王の使いだという二人の女が迎えに来る。そこで何年かを楽しく過ごしたが、故郷が恋しくなって帰ることにした。別れぎわに珍しい馳走を出されたものの、食べ方が分からず重箱に詰めて持ち帰ると、家族は喜んで迎え、その馳走を食べた。中には人魚の肉が入っており、一片を口にした娘は何百年も生き、方々を巡り歩いた。それでも年を取らないので、穴を掘って土の中へ入った。これが八百比丘尼だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。