石橋に躓いて果てた白比丘尼
どんな伝承か
『提醒紀談』の記す白比丘尼の話。尼は小松原の人で、父がある日海で釣り上げた奇怪な魚を捨てたのを、幼い尼が拾って食べた。それが人魚であったのだろう、尼は齢八百に及び、人は八百尼と呼び、肌も背も白かったので白尼ともいった。尼は源平の盛衰を目のあたりにし、義経がこの地を過ぎて奥州へ向かうのも見たと語り、聞く人は唐土の西王母や麻姑のたぐいかと怪しんだ。住んだという洞穴は後瀬山の麓、空印寺の境内にあり、大きな岩を一丈四方ほど穿ってある。洞の西数十歩の石橋で尼は躓いて倒れ、そのまま世を去ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。