乳子の森に眠る若宮と乳母
どんな伝承か
額田郡額田町保久から、さらに四キロほど山奥へ入った所に、農家が三軒だけぽつんとある。三軒とも荻野姓である。尹良親王が信濃波合で亡くなったあと、若宮と乳母、家臣二名がこの地へ脱出してきた。一同は草鞋をうしろまえにはいて追手の目をくらまそうとしたという。若宮と乳母はやがてここで死に、家臣たちは居ついて百姓になった。荻野氏の家から数百メートル奥に乳子の森があり、ここで若宮が亡くなった。知らせを聞いた乳母もその場に倒れて死に、その下の水田のあたりを乳母が森という。乳子の森には若宮を葬った王子塚と、若宮をまつる若宮社がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。