貧しい僧に恩を返した飼い猫
どんな伝承か
磐田郡佐久間町(現浜松市天竜区)の類話。ある所に位のあまり高くない僧がいて、一匹の猫をたいそう可愛がっていたが、貧乏になって飼えなくなり、どこへでも好きな所へ行って幸せに暮らしてくれと猫に告げた。猫はしばらく悲しそうにしていたが、恩返しにと、まもなく病気で寝ている庄屋のおばあさんが死ぬこと、その葬式の日に自分がかしゃになって死体を巻き上げ、誰が祈っても戻さないが、あなたが祈ればすぐ降ろすことを告げて姿を消した。数か月すると果たしておばあさんが死に、猫の言ったとおりの事が起こった。僧が祈るとおばあさんの死体は降りてきて、それからその僧は大変裕福になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。