水一滴を握って大蛇となった皇円
どんな伝承か
遠江国笠原の庄の桜が池は、左に蒼海が広がり右に青山がそびえる間に、澄んだ水をたたえている。この地は徳大寺実定卿の所領であったが、実定は源空と師檀の間柄であったので、乞われるままに池を譲ったという。皇円阿闍梨はある夜座禅し、手のうちに水一滴を握って生きながら大蛇となり、山から池へ移り入った。それより池水はいよいよ澄み、水草は岸へ吹き寄せられ、その夜にあたる時は池のあたりに大風が吹き、車軸を流すような大雨が降ったという。のちに源空上人がこの池へ下って阿弥陀経を読み念仏を唱えると、大蛇が波の上に頭を差し出して涙を流した。もとの姿をと乞われると底へ沈み、やがて皇円阿闍梨の姿で水面に浮かんだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。