弘法大師が断った師走味噌
どんな伝承か
昔、弘法大師が諸国を回っていた途中、十二月に味噌をついている農家に立ち寄り、自分にも味噌餅を振る舞ってくれと頼んだ。子どもを大勢連れた家のおかみさんは、そんなに食べたければあると言って味噌を一掴みくれたが、大師が見ていると、その手で子どもの糞をちょっと拾ってやった。それで弘法大師は、自分は一年子だから師走味噌は食べぬと言って貰わなかったという。それでこの地方でも、一年子のある家では十一月に味噌を作らず、十二月にもなるべく味噌をせず、一月か二月に仕込むことにしていると伝える。
原典より
まあ昔は弘法大師さんがずうと諸国を回らせて、その回られる途中に、十二月にある農家で味噌をついておりましたところ、弘法大師さんがある家によって「まあわしにも味噌もちをよんでくれんか」という。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。