山伏に身をやつした頼光の童子退治
どんな伝承か
酒呑童子はもと越後国蒲原郡中村の百姓の子だという。正暦元年三月二十一日、源頼光をはじめ藤原保昌・碓井貞光・卜部季武・渡辺綱・坂田公時の主従六人が大峰修行の山伏に身をやつし、藤の衣に頭巾をかぶり金剛杖を突いて丹波路へ向かった。三岳山で蔵王権現を拝んで願文を捧げ、千丈ヶ嶽の麓へ至る。道で出会った三人の老翁から、飲めば力を増す神変奇特酒と守護の兜を授かり、二瀬川で血の流れを見、官女の案内で岩窟に入って童子を斬った。首は空を飛んで丹波と山城の境の坂に落ち、のち首塚明神として祀られたと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。