桜尾峠の湖に沈んだ娘と丹池
どんな伝承か
昔、大阪の鴻の池に美しい娘がいた。嫁のもらい手は多かったが娘は承知せず、やがて丹後から来た男前の男に惚れて嫁ぐという。鴻の池では立派な駕籠に供人をつけて丹後まで送らせたが、郡界にあたる桜尾峠へさしかかったところで一休みしていると、娘は駕籠を出て近くの湖へ入っていった。供の者が呼ぶと湖上を男と女が泳ぎまわる姿が見えたが、すぐに消えた。その後この湖には大蛇が出て村人を悩ますといわれ、木津の有田部落の三五郎が短刀をくわえて潜り、底の樹の株らしいものを切りつけると真赤な血を吹いて大蛇が現れ、闘って退治した。池の水が赤くなったので丹池といい、それが丹波の国名の起こりだという。
原典より
むかし大阪の鴻の池に美しい娘さんがあった。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。