参詣人を殺めた堂守と生首谷
どんな伝承か
東別院村東掛部落に火打谷という谷があり、そこに郡の第二十番の札所がある。今から三百年ほど前、その御堂の堂守であった新蔵という者が、毎日のように参詣人を殺して金銀を盗んでいた。事が露れて彼は村人のためにこの山中で石ころ詰めにされて殺された。この峠はもと桜峠といったが、それ以来生首谷というようになり、往来の人も絶えてしまったという。彼を埋めたという穴には、今はその時に用いたという石や礫がたくさん転がっているばかりである。
原典より
〈柳田―「山伏谷」〉東別院村東掛部落に、火打谷と云う谷があって、そこに郡の第二十番の札所がある。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。