鏡に映った愛妾の顔
どんな伝承か
元禄の頃、清水小路の連坊小路寄りに、浅間某という大身侍の広い屋敷があり、五月の花菖蒲を名物とする八ッ橋の池という小沼があった。浅間某は池のほとりの離れ家に愛妾の綾目を住まわせていたが、本妻の撫子は情夫の大橋某と共謀して綾目を殺害し、池の泥深くに埋め、主人には財物を盗んで出奔したと讒訴した。その秋、宴席に招かれた歌舞妓の五月女が支度部屋の鏡台に向かうと、鏡には自分の顔ではなく、久しく会えずにいた姉綾目の顔が映った。深夜、綾目の霊が現れて殺害と池の底に埋められたことを訴えたので、池を掘り渫わせると無惨な遺骸が現れたという。
原典より
この話はだいぶ創作怪異譚のにおいがするが、一応記しておく。—— 宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。