岩田橋に響く網引の声と子供の切火
どんな伝承か
毎年七月十六日、津の岩田橋で夜更けに耳を澄ますと、沖の方から網を引く声が聞こえると言い伝えられている。また盂蘭盆のあいだ、近在の子どもたちが大勢連なり、燧や火打石で大通りに切火を打ちながら、「なんまみだ、あこぎ菩提」と囃し立てることがおびただしい。大人が止めても聞き入れず、隠れて抜け出してはこれを行う。いつ誰が始めたことなのかは分からないが、阿漕の菩提を弔うための所作なのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。