風穴に身を隠した千方将軍と赤岩
どんな伝承か
滝之原の辻に赤岩神社への道案内の標柱石があり、そこから南の山へ四キロばかり登ると比奈知川と長瀬街道を見渡す岩の上へ出る。頭の上にかぶさる赤茶けた岩が赤岩尾で、赤岩尾神社が祀られ、人々は赤岩はんと呼ぶ。屏風岩やお俵岩が並び、小岩尾には夏冷たく冬暖かい風の吹く風穴がある。平安の昔、高尾の山城に立て籠もった藤原千方将軍はここへ来ては武運長久を祈願し、以来赤岩は武運の神として崇められた。ある日、後をつけた敵軍に囲まれた将軍は、吹く風に誘われて見つけた風穴に身を隠して難を逃れたという。参道脇の小川で手を洗い清めたので千方手洗い川、悪人を吊した松を人掛け松、馬の蹄の跡が残る石を千方の飛石と呼ぶ。
原典より
滝之原の滝水商店の辻に、赤岩神社へ道案内する大きな標柱石があるんじゃ。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。