姫捨松と経の岩窟が残る中将姫の古跡
どんな伝承か
糸鹿峠から六丁ほど東に中将姫の古跡があり、得生寺という寺が建つ。本尊は阿弥陀仏で、姫が十三歳のときの御影を安置し、西行や文覚も跡を残すという。境内には姫捨松、経の岩窟、侍臣春時夫婦の墓、石の机、菩提の塔などがある。ただし大和国宇陀郡にも同じ名のひばり山があって青蓮尼寺と号する寺が中将姫の古跡と伝えるので、どちらとも決めがたい。また一説には、姫は流された豊成の娘であり、謀反を企てた恵美押勝の姪にあたるため身を憚って当麻に隠れ剃髪したのであって、世にいう継母の讒言によるのではないともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。