波切の巨人を退けた大草鞋
どんな伝承か
ダンダラボウシは巨人のことで、志摩の各地に話があるが、波切のものが最も詳しい。波切のダンダラボウシは大王岬の沖の大王島を住処とし、身体は巨大なのに動作は敏活で、里へ現れては美しい娘を次々にさらった。里の寺僧が知恵を出して村役人と謀り、巨人が大王崎西方の巨岩に片足をかけて須場の浜へ進むと、置いてあった畳より大きな草鞋、径一間のぼてかご、二間余のこましぶくろ、竿に干した漁網を見せ、いずれもこの里の巨人カチトカの草鞋・煙草入・股引・帽子だと答えた。ダンダラボウシはついに震え上がり、ものも言わずに逃げ去った。以後毎年大草鞋を片足つくり、神事を行って須場の浜から流すようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。