大山桜が立つ平の維盛塚
どんな伝承か
紀州高野山の奥、湯川の里の豪族は代々小松弥助と名のり、三位中将維盛の子孫だと伝える。その弥助の娘が野迫川の立里荒神へ参る途中、水ヶ峰の旅宿に泊まったとき、赤い鼻緒の履物に心を奪われた若い衆の一人がそっと履いてみようとしたところ、鼻緒はいつの間にか切ってあり、他人の狼藉は許されなかったという。その先祖にあたる平維盛の塚が野迫川村の平にある。家数二十戸ほどの寒村で、塚の上には周囲三メートルを超える大山桜が一本立ち、春ごとに昔ながらの花の色を見せている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。