金島に名籍を書き那智の浦に入水
どんな伝承か
三位入道が三山の参詣を滞りなく果たしたのち、浜宮の王子の御前から一葉の舟に棹さして万里の波に浮かんだ。はるかな沖に金島と呼ばれる小島がある。入道はその島に上がって松の木を削り、みずから名籍を書きつけた。平家嫡々の正統、小松内大臣重盛の子である権亮三位中将維盛入道が、讃岐屋島の戦場を出て三所権現の巡礼を遂げ、那智の浦で入水したと記し、元暦元年三月二十八日、生年二十七と書き添え、奥に一首の歌を遺したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。