夢に見た千両箱を掘り当てた乞食
どんな伝承か
宇陀郡室生村の上笠間に長者屋敷と呼ばれる場所がある。その近く、小原の滝の上の洞穴に、むかし二人の乞食が寝ていた。一方が、ここに千両箱が埋まっている夢を見たと語って立ち去ると、それを聞いたもう一方がひそかに掘り、千両箱を三つ掘り当てた。男は伊勢へ帰り、それを元手に商いをして大いに栄えた。のちに夢を見た側の乞食が伊勢を訪れ、かつての相棒が大旦那になっているのを見て驚き、夢では七つあったのだから四つ残っているはずだと言って笠間へ引き返す。掘ってみると果たして四つが出て、この男も大阪で商いを興して身代を築いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。