小判を産む犬と犬島の名の起こり
どんな伝承か
邑久郡長船町牛文で語られた話。昔、あるところで犬を連れた人が宿に泊まった。ところが金がないので、翌朝旅立つときに、「ここへ犬を置くから、犬に一日五合の砂を食わせてくれ。そうすれば金の小判を一枚ずつ産むから、それを宿代に当ててくれないか」と言って犬を置いていった。宿屋の亭主は、五合で一枚産むなら一升食わせれば二枚産むだろうと考えて食わせた。なるほど思ったとおり二枚産んだが、犬はころりと死んでしまった。仕方がないので海の中へ投げ込むと、流れ流れて着いたところが犬島で、それで犬島という名になったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。