貝を食べて年を取らぬ山中の女
どんな伝承か
千年比丘尼(八百比丘尼)の類話。勝田郡奈義町(現奈義町)では、薬屋が荷を負って村々を回るうち山中で道に迷い、川で洗濯していた若い女の家に泊めてもらう。女が語るには、自分は漁師の妻だったが、大病にかかり夫が取ってきた見知らぬ貝を食べて全快した。以来まったく年を取らず、子を産んでも容姿が変わらないので、村人に化け物と気味悪がられ、家を出て他国で再婚を重ねた。娘のころ後醍醐天皇が隠岐へ流されたのを覚えているという。翌朝、薬屋が去るときはあたりが霧に包まれ、そこがどこか分からなかったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。