妙善寺前の大僧正の腰掛石と日招き
どんな伝承か
岡山市津島福居の妙善寺の前には、大僧正の腰掛石と子安の井戸がある。京から西国へ弘道に向かった大覚大僧正がこの村に着き、道端の石に腰を下ろして休んだ。田植えをしていた新九郎という百姓に煙草の火を請うたが、なかなか貸してくれず、再三頼んでようやく借りたという。そのとき大僧正は、前へ進みながら苗を植えていたやり方を改め、後ろへ下がって植える手順を教えた。日が傾いても田植えは終わらなかったので、扇で日輪を招いて沈むのを遅らせ、その間に植え終えることができたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。