矢が落ちた山で決めた藩境
どんな伝承か
安来市広瀬町東比田の佐水に伝わる話。広瀬藩主と母里藩主は兄弟で、両藩の境を定めるため、同じ時刻に双方を出発し、出会った所を境にしようと決めた。温厚な広瀬藩主は牛に乗って進み、峠を下った所の清水を飲んで味のよい素水だと言い、以来そこを佐水と呼ぶ。狩に夢中になった母里藩主は遅れ、十年畑の下でようやく落ち合った。母里領があまりに狭いので、弓の上手に矢を射させ、届いた所を境にしてほしいと頼み、矢は佐水の奥の高山に落ちた。その山を矢到着、下の小山を論山と名づけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。