矢の届いた所を境とした両藩
どんな伝承か
安来市の旧広瀬町に伝わる話。寛文六年に広瀬藩と母里藩が立てられたとき、領地の境を定めるため、同じ時刻に双方の藩を出発し、出会った所を境とすることになった。ところが母里藩主は途中で狩を催してすっかり遅くなり、二人が顔を合わせたのは赤屋川と十年畑川が合わさるあたりであった。母里の取り分があまりに少ないので、何とかしてほしいと兄である広瀬藩主に頼んだ。すると兄は、母里の家来のうち弓の巧みな者に矢を射させ、届いた地点を領界にしようと答えたという。こうして矢の届いた所を矢とつ、そばの小山を論と名づけ、両藩の境としたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。