れんげ歌の返しに倒れた嫁
どんな伝承か
西市には釜谷という深い谷があり、その出口に嫁殺し田と呼ばれる田がある。昔、この地によく働く一家があり、なかでも姑は休日も祭日もなく働きづめだった。ある朝も暗いうちから嫁を連れて田の草を取っていると、疲れた嫁が翌日の休みを心待ちにして「明日はれんげ」と口ずさんだ。姑がすかさず「牛のれんげ」と歌い返したため、嫁は明日も休めぬのかと気落ちし、その場に倒れて死んだという。嫁を葬った塚は後に耕地整理で他所へ移されたが、蒸し暑い日には稲葉の上に渦が巻き、嫁の霊が今も舞うのだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。