安産の神となった弁慶の母
どんな伝承か
弁慶の母は弁吉女といい、紀伊国田辺村の郷士誕象の娘であった。大柄で醜いために連れ合いに恵まれず、縁結びの神を頼って出雲へ下り、長海に滞在中に山伏と出会う夢を見る。ほどなく身ごもり、十八か月目に歯が生えそろい髪の伸びた大きな男児を産んだ。子は幼くして怪童ぶりを見せ、母は持て余して中海の小島へ捨てたが、弁慶は石を運んで陸への道を築き戻ってきた。のち枕木山の寺に預けられ、十六で母を失うと志を立てて都へ去る。弁吉女は長見神社の境内に祀られ、安産の神として松平家の内室も参拝したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。