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雨夜に傘を取り上げた愛宕の天狗

所在地島根県松江市外中原町(阿羅和比神社)
年代不明
登場樋口孫六、体験者、伝承者、柔術家・体験者
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

松江の外中原に住む柔術家樋口孫六が、雨の夜に供を連れて出かけ、氏神の阿羅和比神社の前を通ると、何者かが傘の頭をつかんで持ち上げようとした。樋口は慌てず、帰りまで預けておくと言って柄を放した。傘はそのまま中空へ昇っていったが、帰りに同じ場所へ来ると空から下りてきて手に戻った。樋口は以前、清光院の墓地へ上る石段の地獄門で謡の松風を歌えば化け物が出るという言い伝えを試し、大きな光り物に家まで追われ、門の外から大石を投げつけられたことがあった。それが愛宕の天狗の仕業と知ってから肝を練り、傘の一件も天狗が自分を試したのだと受け止めたという。

原典より

最初傘を把られるとき、樋口は愛宕の天狗が自分を試めすのだと氣附いたから、少しも慌てなかつたが、それには亦左の如き事質が絡つて居る。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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