床山の池へ嫁いだ神主の娘
どんな伝承か
水若酢神社の神主の家に美しい娘がいた。盆の十五日の夕、家族が縁側で涼んでいると、見目よい若者が現れて娘を嫁にほしいと申し出る。名乗れと迫られた若者は、床山の池に棲む大蛇だと明かした。神主が刀を抜いても姿は消え、娘は女房に決まったと声だけが響いた。両親は娘を奥の間に閉じ込めたが、縁側も草履も夜ごと濡れていた。ある朝、女中が布団の下に大蛇らしきものを見る。やがて雷鳴の夜、蛇の声とともに娘は消え、床山の池には草履だけが残された。呼ばれて水面に顔を出した娘は、首から下が鱗の蛇体になっており、そのまま底へ沈んでいった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。