三個の卵を産んだ道ヶ内の娘
どんな伝承か
石見の鳴滝に、道ヶ内という屋号の家があり、その池にまつわる話が伝わっている。この家にやさしく美しい娘がいたが、いつの間にか腹が大きくなり、産み落としたのは三個の卵であった。両親が問い詰めると、色白で身体の冷たい、とても優しい人が通ってきて、どんなに断っても聞き入れないので一夜の契りを交わした、と娘は答えた。両親は、今晩その人が来たら縫い糸を通した針を髷に縫いつけておけと教える。翌朝、糸をたどっていくと道ヶ内の池の中へ入っており、娘の相手が池の主の大蛇だと知れた。両親は二度とこのようなことがないようにと、庭の椿の大木を逆さに埋めたという。この椿は近年まで池のほとりにあったが、今はない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。