両脇に鱗を持って生まれた娘八重
どんな伝承か
松江藩で代々弓道指南役を務めた子松源八に、八重という美しい娘がいた。娘は生まれた時から両脇に魚の鱗のようなものがあり、十二、三歳のころから伯耆大山へ参りたいと言い出していたが、幼いのでやめさせていた。十六歳の年、乳母とともに参詣した帰りに赤松池へ寄ると、娘は急に池へ飛び込んだ。驚く乳母に、自分の住みかはこの池だ、両親に不孝を詫びてほしい、氏神の祭には必ず帰るので盥に清水を張って待ってくれと告げて水へ入った。八重は竜になったといい、子松家では祭日に張った清水が夕方には濁っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。