飯の出る杓子を残した山婆
どんな伝承か
榎の木という家の高手に山婆がいるという。山婆は川渕や俵の伊の木という家へ木綿糸を引きに出て来た。糸引きをすると、一日かかっても糸巻の管には二本ほどしか巻けないのに、かせに巻くときは巻いても巻いても榎ノ木山の高さより長く取れたという。地主が木を伐ったために山婆は山戸へ帰ることになり、そのとき榎の木と川渕、俵の伊の木にだけは食物を与えようと言い残した。道すがら川平村の板根という家で休み、子供に飯の出る杓子を渡して帰った。父親が汚いと竹藪へ捨て、後で拾いに行くともう無かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。