水を飲みに出た正蓮寺の梁の竜
どんな伝承か
那賀郡旭町の正蓮寺の大門は、八十年ほど前に神奈川の豊原喜一郎が建てたものだという。当時の住職祐鉄が本山の命で美濃へ巡錫した折に喜一郎と懇意になり、連れ帰って建てさせた。喜一郎は器用な人で皆に「たくみさん」と呼ばれ、晩年はこの地で匠を業として没したという。大門は遠方から工人が視察に来るほど立派で、梁上の竜と門扉の獅子の彫刻は特に名高い。その梁上の竜がある夜、山門の後方数町にある益田堤の貯水池まで水を飲みに行ったといい、その後も同じ怪異が続いたが、鉄の釘を項に打ってから止んだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。