長竹の里を訪れた山姥と正月餅
どんな伝承か
高知県高岡郡日高村(現・同村)長竹の集落に伝わる話。ある年の暮れ、ぼろぼろの着物をまとった老婆が、餅米を入れた袋を提げて戸ごとに「一緒に餅を搗いてほしい」と頼んで回ったが、誰も応じなかった。あきらめかけたところ、長竹の貧しい若夫婦が快く引き受けてやると、搗くたびに餅の量が際限なく増え、以来この夫婦は村一番の長者になった。しかし代替わりした息子夫婦が老婆の訪れを嫌って餅搗きを早めに済ませたところ、餅は増えるどころか減り続け、家は元の貧しい暮らしに戻ってしまったという。
原典より
ある年の暮、大滝山の麓九頭、長竹の聚落に、ぼろぼろの着物をまとった総白髪皺だらけの老婆が、汚れた布の袋の底に餅米二、三合を入れたのを携げて、「お宅のお正月の餅を搗くついでに、ご面倒ですが、私のもいっしょに搗いてくださいま…—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。