雲辺寺の猫と夢のお告げ
どんな伝承か
名のある山には口にしてはならない言葉がある。箸蔵山では天狗、雲辺寺では猫がそれである。雲辺寺の古い住職は猫を飼っていたが、暮らしに困って好物の鯖を買ってやれなくなり、事情を言い聞かせて山中へ放した。ある夜、猫が住職の夢に現れ、讃岐に重病人が出たので行って拝めと告げる。住職が出向いて祈禱するとすぐに治った。以来、夢のお告げがあるたびに出かけて病人を治したので、寺は前より立派になった。雲辺寺の守りは猫だというわけで、山中では猫が禁句になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。