浅草寺の器を踊らせた狸
どんな伝承か
明治四年、浅草寺が境内を広げるために開墾を始めたところ、台所の器物がひとりでに踊り出すという怪異が起こりはじめた。ある夜、小僧が現れて、自分は境内に棲む狸である、祠を建てて神として祀ってくれれば悪戯はやめる、と告げて去った。寺はその年の九月に狸の宮を建て、鎮護堂と名づけた。以後この堂は、火伏せと盗難除けの神として信仰されるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。