雨池の水を呑んだつなぎの竜
どんな伝承か
昔、秩父札所十五番のあたりに雨池という池があった。毎夜、子の刻ごろになると池の水が何者かに掻き乱され、恐ろしい音が響き、翌朝には畑が荒れ野のようになっていた。村人が見張りに立って待ちかまえていると、竜が現れて雨池の水を呑み、作物を荒らして去った。あとを追ったが、秩父神社の付近で見失う。人々は、社に納められた左甚五郎の竜の仕業と考え、鉄の鎖で結わえつけた。以後、作物が荒らされることはなくなり、つなぎの竜の名はここから起こったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。