棟木に売られた杉山神社の神木
どんな伝承か
下星川の杉山神社に、昔は神木として崇められた巨大な檜があり、同じ村の日蓮宗法性寺が別当として祭祀にあたっていた。江戸で芝居小屋を建てる話が起こり、棟木にする巨木を探した者がこの神木に目をつける。住持は金に心を動かして売り渡し、木は伐り倒されて帷子川から海路を江戸へ運ばれた。ところが寺では夜ごと木を伐る音や倒れる音、悲鳴のような響きが続き、住持は夢に神木の霊を見て病に伏した。江戸の披露興行では座頭の団之助が舞台で狂い出し、われは杉山宮の神木なりと叫んで狂い死んだ。驚いた関係者は代わりの木を植え、伐り跡を懇ろに弔ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。