由布の山霊を鎮めた西行堂
どんな伝承か
四月はじめのうららかな日、西行法師は道端の石に腰を下ろし、鶴見や立石の山々を従えて青空に浮かぶ由布の霊峰に見入った。歌帖を開き「豊国の由布の高嶺は富士に似て雲も霞もたえぬなりけり」としたためると、山頂に暗雲が広がり、強風が吹き荒れて山が鳴りはじめる。村人が逃げまどうなか童子が現れ、富士は孝霊天皇の御代に一夜で出来た山、由布は神代からある山だと告げて消えた。西行が上の句の「は」と「に」を入れ替えて詠み直すと、空はもとの春に戻ったという。法師はこの地に庵を建てて二十一日の供養を営み、村人はその堂を西行堂と名付けて山霊神と法師の木像を祀った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。