嫗岳の穴に消えた大蛇の子
どんな伝承か
日向国の塩田に大太夫という徳のある人がいて、花の本という美しい娘を後園の屋敷に囲って育てていた。ある秋、高貴な装いの美男が毎夜通うようになり、娘は心を寄せた。露見を恐れた母は、苧環の糸を通した針を男の衿に刺させ、翌朝家人を連れて糸をたどると、日向と豊後の境の嫗岳の大穴に至った。穴の中の相手は大蛇で、針の傷で動けぬと嘆きつつ姿を現し、娘の腹に宿った男子は弓矢に優れた者になるから育てよと言い残して死んだ。生まれた子は素足で野山を駆けて足に皹が絶えず、あかがり大弥太と呼ばれた。その五代の孫が尾形三郎惟義だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。