娘を呼び歩いた盲目の琵琶弾き
どんな伝承か
西彼杵郡西海町に、失明した祖父と孫娘静香の話が伝わる。静香は祖父の目を治したい一心で、洗い物や使い走りをし、村の溜池の蓮の花を売って働いた。あるとき祖父が川に落ち、通りがかりの男に助けられる。男は祈禱をすれば目は治ると言い、静香は米十俵と小判十枚を届け、一年の奉公に出た。だが祖父の目はいっそう悪くなり、米も小判も男に取られただけであった。静香は帰らず、盲いた老人が村々を琵琶を弾いて娘の名を呼び歩き、やがて波打ち際で死んでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。