老松天満宮と庄津の道真伝承
どんな伝承か
老松天満宮は知識村の庄にあり、祭神は太宰府と同じである。この社は水成川が海へ注ぐ口に臨み、その海口を庄津と呼ぶ。土地では、菅原道真がかつて庄津へ来て船をつなぎ、しばらく留まったと語られる。社のそばには御手洗川があり、川中の腰掛石が今も残る。当時、村の城洲門の農民が筵を差し出したという故事にちなみ、祭のときの筵はいまも城洲門から納められる。道真の着船が十二月二十九日であったため、近辺の者はその正月に門松を立てず、餅も搗かないならわしを守り、それは社司の親族にまで及ぶ。鎮座屋鋪と呼ぶ所は今は御為かけ園といい、道真が携えた念珠は別当の御成川寺が蔵していると記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。