渚に穿たれた俊寛の足跡
どんな伝承か
三島村硫黄島の港の西岸、渚の乱れ石の上に足摺石がある。長さ五尺四寸、横四尺、高さ三尺二寸ほどの石で、その面には長さ八寸三分の左足の跡が穿たれている。指の側は幅四寸二分、踵の側は三寸五分、深さは二寸ほどある。昔、成経と康頼が赦されて船出したとき、俊寛ひとりが島に残され、別れを惜しんで船を出すまいとこの石を踏みつけ、船の綱を引いたところだと伝わる。土地の人はこの石を神として崇めてきた。近くには南北三間二尺、東西二間四尺余りの平らな大石があり、俊寛が常に来て遊んだところだという。島の旧記には、今の足摺石は後の人が足形を彫ったもので、真の足摺石はこの遊んだ石のことだとも記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。