丹後局が名づけた薩摩渡瀬と崎野
どんな伝承か
薩摩渡瀬は湊村と大里村の境の石出にあり、渡瀬橋から流れに沿って二町ほど下った所である。丹後局が下向したとき着船した所で、薩摩渡瀬という名は局が付けたものだという。昔は本府からの大道がこのあたりを通っていた。渡瀬の川口より少し南に崎野という浦があり、局が着船の折に地形を見て崎野であると言ったのでその名が付いたと伝える。崎野には御霊と今熊の二社があり、これも局の勧請だという。昔、薩摩渡瀬川の下流は今より少し崎野の方へ寄って海に入っていたともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。