高潮を免れた多良間の夫婦
どんな伝承か
むかし宮古の多良間島に一組の夫婦がいた。夫を伊知乃蘆、妻を姥保那末屋といい、二人とも心正直で誠実、道を重んじ、父母によく仕え、兄弟とも睦まじく、人に情けをかけて悪事をしなかったという。ある日、ほかの夫婦数十人とともに嶺のあいだへ出て田畑を耕していたところ、海の水があふれて白波が天を覆い、居合わせた人々はみな波にさらわれて海に沈んだ。ただこの夫婦だけが天の助けを得て災いを免れ、命を全うした。のちに一男一女を生み、男を土原大殿といい、娘は聡明で美しく、人々に称えられたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。