金城橋に身を投げた夫婦の遺念火
どんな伝承か
識名ンダ坂の遺念火の起こりはこう語られる。たいへん思い合っている男と女がおり、女はいつも豆腐を作って首里の町へ売りに行った。日が暮れてから帰るので、夫はいとしさにたいまつをつけて迎えに出て、途中で落ち合って共に家へ帰るのが常だった。この女がたいへんな美人だったので、横恋慕した男が力ずくで犯そうとした。女は夫を愛し義理堅い性質だったから、金城橋から身を投げて貞操を守った。迎えに来た夫は妻の死を知らされ、同じ橋から身を投げて後を追った。それからは二人の遺念が残り、その時刻になると毎晩、夫はたいまつをつけて妻を迎えに行き、妻もたいまつをつけて、橋のところで二つの火が一つになって戻っていくという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。