人肉を食う男が果てた穴ウニガマ
どんな伝承か
三百年ほど前、塩道の穴に男がひとり棲み、人の肉を食って生きているという噂が島じゅうに広まった。噂は男の身内にも届き、妹は自分の目で確かめようと兄の住まいを訪ねる。折しも大鍋が煮え立っており、兄は水を汲んでくるから鍋を開けずにいてくれと言い残して出た。妹が蓋を取ると、入れ墨を施した手の甲が浮いていた。鍋をひっくり返して肉を撒き散らし、里へ向かって走り出した妹を、戻った兄は激怒して追ったが、坂の中腹の水飲み場で足を滑らせて腹を打ち、妹の乳の肉を食い損ねたと叫んで悶え死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。