名刀を川に投げて霊薬を得た小笠原家
どんな伝承か
一宮市となった旧萩原町の旧家小笠原家には白鷺という名刀が代々伝わっていた。先祖はれっきとした武家だったが、このころは家運がすっかり衰えていた。ある夜、当主の夢に童子が現れ、このような家に名刀は無用だから明日裏の日光川へ投げよ、そうすれば霊薬を授けて家運を盛り返してやろうと告げた。翌朝そのとおりにすると、刀は安養寺の裏まで流れて水中に巻き込まれ、代わりに壺が一つ浮かび上がった。持ち帰って大切にすると小笠原家の田畑に白鶏頭の花が一面に咲き出した。夢の言葉を思い出して産後の婦人に飲ませたところ、たいへん効き目があったという。家はその後栄え、壺はいまも秘蔵されていると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。